今回は、従業員満足度が倍増する評価制度について見ていきます。
まずは、評価制度の位置づけについて確認しておきましょう。下の図をご覧ください。この図は、EC業界における企業戦略を示したものです。

集客して契約につなげる事業戦略がある一方で、評価制度については、それを支える人の戦略、すなわち組織戦略に位置づけられます。下の図をご覧ください。この図はマズローという学者が説いた、従業員のモチベーションを管理する考え方を示したものです。

第一段階は生理的欲求と言い、生きるために最低限の保障が欲しいという動機づけで働きます。それらが満たされると、最低限の安全な寝床を確保したいという目的で働くようになります。さらに、これらの目的が満たされると、組織の中で嫌われずに受け入れられたいという欲求が芽生えてきます。そして、組織に評価されたいという欲求が芽生え、さらには、なりたい自分に成長したいという欲求が生まれます。
自己超越の欲求は、会社を通じて世の中を良くしたいという欲求です。この自己超越という観点は、自分自身だけでどうにかなる話ではないので、会社を通じて変えていくという観点で理念構築に取り組みます。

理念については、「ミッション」と言い換えられることもありますが、まずそのミッションを明確にし、それらを達成している状態を「ビジョン」として定義します。そして、「バリュー」という価値観をスタッフに根づかせることで、達成に向けて邁進するのです。これらが理念構築になります。
一方で、自己実現の欲求や承認欲求・社会的欲求は、報酬制度によって満たすことができます。報酬制度は、下の図のように二つあり、金銭報酬は評価制度そのものを指します。一方で、定性的な意味報酬については、組織開発がテーマになります。

そして、評価制度については、次の図にあるように、衛生要因と動機づけ要因があります。

衛生要因とは、最低限の給与を指します。一方で、従業員の意欲向上のためには、責任感や達成感などの動機づけ要因が必要で、これらをベースに評価制度を構築することが重要なのです。
では本日の目次をお示しいたします。
評価制度構築の流れ
話を進める前に、まずは給与の定義について押さえておきましょう。下の図にあるように、給与には、月例賃金・賞与・歩合があります。事前に、これらを適切に設定しておくことが非常に重要となるのです。

下の図をご覧ください。評価制度については、設計・運用・改善の三つの軸が必要になります。

今回の記事では、このうちの設計について見ていきましょう。設計に関しては、次の二つのポイントを押さえておく必要があります。
①長期雇用を前提に設計する
次の図は、EC業界における基本給のデータですが、このようなデータを踏まえながら、長期雇用を前提とした給与モデルを作っていきましょう。例えば、採用当初は下限の給与から始め、徐々に上限まで引き上げていくなどの考え方があります。

②中途採用において調整給を取り入れる
スタート時は2等級だったものを、1年後には3等級にするといった前提で、中途採用時の賃金と基本給のギャップを調整給で対応していくこともポイントです。

また、下の図は、一般的な会社の人件費率を示したものですが、売り上げにおける人件費率は10〜13%が適正ですので、その基準をベースに給与を作っていく必要があります。

これら二つのポイントを押さえて評価制度の設計を行うことが重要です。
本日のまとめ
改めて、本日のまとめをお示しいたします。
評価制度は、設計・運用・改善の三つのステップで実施する
給与報酬は長期雇用を前提に設計する
中途採用の給料は調整給を設け、賃金と基本給のギャップを埋める
以上、今回は、EC業界において従業員満足度を倍増させるための評価制度について見てきました。
今後、このような取り組みがさらに重要になってきますので、早期に体制づくりを進めていきましょう。